ねっこ

2017.09.07


とある夜の閉館後。

機械室のカギ閉めの為に外へ出ると、どこからだろう、

かすかに鳴き声が聞こえる。

・・・猫や。

これはもう探さずにはいられない。

暗闇の中、声のする方向へゆっくり歩を進めていく。

そして見つけた大きめの猫さん。

逃げられぬよう距離を詰め、手招きしてみるのだが

警戒心を解くのは難しい。

「あと少しなのに…」

しびれを切らしギリギリの境界線を越えると、やはり駆け出してしまう猫さん。

「あー、行ってしまわれた。でもやっぱりええな猫は、うん」

また猫のいる生活がしたくなった2017年、秋。

「せや、鍵閉めするの忘れてた。」

完。